楽しい買い物を通して
地域に愛される高質スーパーを目指す
遠鉄ストア様
お客様の課題
- 5つの質を高めるための、全従業員の意識づけと独自性の確立
お話を伺った方:株式会社遠鉄ストア
取締役 店舗サポート部 部長
兼 店舗運営課 課長 兼 調剤事業担当
大石浩司氏
店舗サポート部付 課長
大場裕介
店舗サポート部 CSマネージャー
加藤伊代、桜井裕子
1973年(昭和48年10月1日)設立
代表者:宮田 洋
本社所在地:静岡県浜松市中区佐鳴台4丁目16番10号
年商:558億円
店舗数:33店舗
オリジナリティあふれる品揃えで支持される高質スーパー
「遠鉄ストア」は、浜松市を中心とする静岡県西部(一部愛知県含む)に33店舗を展開し、地域で業界トップの売り上げを誇るチェーンストア。地元名産品をはじめとする地産地消にも力を入れ、さらに全国からこだわりの品を集めるなどオリジナリティあふれる品揃えで、他のスーパーとは一線を画したスーパーマーケットとして、地元民からも支持されています。
「地域に愛されお客様も社員も楽しい高質ストア」になることを目標に、さまざまな取り組みを行っています。なかでも特に注力しているのが、自社の強みでもある「商品」「販売」「鮮度」「接客」「人財」の5つの質を、さらに高めていくための取り組みです。
5つの質向上の相乗効果でCSを高める
同社が取り組む「商品」「販売」「鮮度」「接客」「人財」の5つの質の向上とは、言い換えればそれらはすべてCSの向上です。しかも5つの質がそれぞれ単独で突き進むのではなく、相互作用することで相乗効果が生まれ、他の店にはない、独自性豊かな成長を遂げるのだと大石氏は考えます。
そこで同社では、全店舗にCS委員会を設置し、各店舗で部門ごとにCS課題を共有し、課題解決に向けた取り組み方を、従業員で話し合う場を設けています。
さらにCSマネージャーによる、全店舗の自社チェックを隔月で実施するとともに、エイジスのミステリーショッパーも導入。挨拶や陳列、接客、レジチェッカーなど、細分化された項目を、自社チェックとエイジスチェックの両側面から分析し、課題解決に向けて会社全体で取り組んでいます。
「同じチェックでも、社内で指摘されることと、エイジスのチェックでは違った重みがある」と、一連の指揮を取るCSマネージャーの桜井さんと加藤さんは、身をもって実感すると語られました。
「私たち社内の人間は、どうしても店舗内の事情までわかりすぎてしまうので、100%純粋にお客様目線での判断ができない場合があります。けれどエイジスチェックは、公平なお客様目線かつ、客観的な評価なので、いい意味でまったく忖度がありません。だから従業員も素直に受け止めて、学ぶべきことも多いです」桜井さんと加藤さん)
CSに対する意識向上に貢献したチェック体制
社内チェック、エイジスチェックは店舗の従業員ルームに掲示してあり、誰でも確認できます。これにより、従業員意識向上にも変化がありました。
朝礼時の意見交換などでは、以前までは各々の作業に関する報告・連絡が多かったのですが、近年ではチェック内容に関することや、さらにはCSに対することにまで視野を広げて話す機会が増えたと言います。
これは常にCS評価を目にすることで、自ずとCSへの意識が高まり、気持ちが課題解決へ向かっていることに他なりません。
小さな課題を見つけて、それを着実に改善していくというのは、スピード感が求めらる日々の業務のなかでは、大変に細かく、地道な作業です。それでも「すべてはお客様のため。お客様には、お買い物を心から楽しんでいただきたいですから」と、大石氏はその取り組みと成果に太鼓判を押します。
動画マニュアルの積極活用で基礎を強化
同社では近年、動画による接客マニュアルにも積極的に取り組んでいます。
例えば、開店準備作業の手順やレジ対応など、これまでは紙ベースで共有してきたものを、順次動画に落とし込んで全従業員に共有しています。
なかには、お客様対応のHow toを紹介したロールプレイング動画もあり、テキストを読むだけでは伝わりにくい動作や表情、空気感などが手に取るようにわかるため、従業員からの評判も上々です。
ESを高める職場環境にも注力
CS向上の取り組みは、ESの向上にも直結していると考え、同社では「褒めること」と「チャレンジすること」の促進で、従業員の働く喜びを拡大しています。
「褒めること」として特徴的なのは、各店舗に専用の予算が与えられていることです。
これにより、店舗に寄せられるお客様の声やメールなどで特に賞賛されたスタッフには、店独自で表彰ができ、記念品も授与できます。また、スタッフの誕生日にはプレゼントを用意したり、親睦会を開催することもできます。
「まずは従業員に喜んでもらいたいです。そして従業員同士がお互いのことを考え、褒め合う場所からはたくさんの笑顔が生まれます。これが、お客様への対応にもよい影響を与えると考えています」(大場氏)
そして「チャレンジすること」の取り組みには、「チャレンジ販売」として、社内の連絡ツールを活用して商品の売り方や販促方法を共有したり、またはそのアイデアを広く募ったりするものがあります。
これは当初、売場の担当社員だけの取り組みでしたが、最近ではパートも参加し、担当以外からも意見が寄せられるようになりました。
例えば、「クリスマスケーキの予約件数を増やすためにはどうすればいいか」を投げかけると、レジチェッカー部門からもアイデアが届きます。さまざまな垣根を超えてアイデアが結実すれば、その成果は店長会でも報告され、社内評価にもつながります。
すべての人が楽しめる場所であるために
このようなさまざまな取り組みは、同社が掲げる「お客様も社員も楽しい高質ストア」実現への礎。大石氏も、「職場が明るく活気付いて、それがワクワクする店づくりにつながればいいですね。とにかく、お客様に楽しんでいただきたい。そのための5つの質の向上です」と笑顔をのぞかせます。
目標とその手段が明確だからこそ、従業員は会社の思いに応えて進むことができます。それを着実に実現している遠鉄ストアの未来は、さらに明るく輝いているに違いありません。