ネットショップ通販(ECサイト)をはじめるときの注意点とは?
目次
インターネットを通じて商品・サービスを販売する「ネットショップ通販(ECサイト)」。日本のEC市場規模はスマートフォンが普及し始めた2009年頃から大きく拡大し、最近は初心者でも簡単にネットショップを立ち上げられるサービスが続々と登場しています。しかし、ネットショップの運営が初めて場合、サイト運営にはどのような準備が必要なのかわからない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、ネットショップの運営に必要なスキルとともに、初心者がECサイトをはじめるときに注意したいポイントをご紹介します。これからECサイトの運営をはじめたい小売業・個人の皆さまはぜひ参考になさってください!
ネットショップ通販(ECサイト)とは
ECサイトとは「Electronic Commerce(電子商取引)」の頭文字をとったもので、インターネットを介して商品やサービスの売買をおこなうWebサイト、いわゆる「ネットショップ」のことです。日本では1990年代後半に楽天市場、Yahoo!ショッピングが誕生し、その後はスマートフォンの普及やビジネスのグローバル化、オムニチャネル化などによってEC市場の成長が進みました。
ここでは、ECサイトをはじめるうえで知っておきたい基礎知識をご紹介します。
ECサイトの種類
一口に「ECサイト」と言ってもその種類・形態はさまざま。大きくは「モール型ECサイト」と「自社ECサイト」の2種類に分けられ、それぞれ異なる特徴があります。
ECサイトの仕組み
ECサイトの基本的な流れは以下の3ステップです。
1. 商品情報を登録する(運営者側)
2. 商品を購入する(ユーザー側)
3. 商品を発送する(運営者側)
ECサイトにはユーザー向けの「フロント機能」と運営者向けの「管理機能」があります。
フロント機能には商品紹介ページや商品注文ページ、マイページなどがあり、主にネットショップを訪れるユーザーが使う機能です。一方、管理機能には商品管理や受注管理、売上集計などがあり、主にネットショップを運営する管理者が使用します。
ECサイトはこんな人におすすめ
ECサイトの運営が向いている人には以下が挙げられます。
• 普段からネットショップをよく利用している
• 基本的なIT知識・ITリテラシーがある
• 簡単な画像加工や文章作成ができる
• 問い合わせ対応が苦にならない
ECサイトはお客様と直接対面せずに、文字や画像、声だけでやりとりします。その分、お客様の興味をひきつける紹介文や商品画像、相手のニーズを汲み取った丁寧なやりとりが求められます。
ECサイトをはじめるときに注意したい5つのポイント
デザイン・機能を構築しネットショップの形が整ったら、いよいよサイト運営がはじまります。しかし、ネットショップをはじめるときは、サイトの構築以外にもさまざまな準備が必要です。出鼻をくじかれることなくスムーズなサイト運営をするためにも、事前準備はしっかりとおこないましょう。
ここでは、ECサイト運営をはじめるときに注意したいポイントをご紹介します。
在庫の確保
ECサイトをはじめるときは、あらかじめ商品の在庫を確保しておきましょう。
サイト運営者が在庫を持たずにメーカー・問屋から直接消費者に商品を届ける「無在庫ネットショップ」もありますが、自分で仕入れや発送をおこなうのであれば、注文が入り次第すぐに出荷できる状態にしておくことが大切です。
ネットショップ運営が初めての場合は商品の売れ行きがわからず、在庫をもたない状態からはじめたい方も多いかもしれません。
しかし、販売する商品が消費者のニーズや季節のトレンドとうまくマッチした場合、はじめたばかりでも予想外に売れ行きがよくなることがあります。
こうしたビジネスチャンスを逃さないためにも、在庫なしではじめるのではなく、ある程度の在庫は確保してからスタートすることをおすすめします。
梱包資材の準備・配送方法の決定
ECサイトの商品が売れたら、順次商品の梱包作業をおこないます。
ECサイトを利用する消費者にとって、商品の梱包が丁寧かどうかは今後のサイト利用を左右するほど重要なものです。ショップ運営者にとってはなるべくコストを抑えたいところですが、ここで手を抜いてしまうとショップ運営に悪影響を及ぼします。
商品の特性や形状に合った適切な梱包資材をあらかじめ準備しておき、丁寧な作業を心がけることが大切です。
また、ECサイトをはじめるときは、商品の配送方法や送料を明記しなければなりません。
特に送料に関しては、配送方法によって個別に料金を設定する、一定金額以上は無料にする、送り先の都道府県で変動するなど、さまざまな選択肢があります。
送料は消費者にとっても気になる項目なため、どう運用していくかあらかじめ決めておきましょう。
Webマーケティング・集客テクニックの習得
ECサイトをはじめるにあたっては、Webマーケティングによって顧客を呼び込む「集客スキル」の習得が欠かせません。
どんなに商品やサービスに魅力があっても、集客ができなければECサイトで安定した売上をあげることは難しく、サイト運営に支障をきたしてしまうからです。
Webマーケティングによる主な集客手法は次のとおりです。
●SEO
SEO(検索エンジン最適化)とは、検索エンジンにおいて特定のウェブページを上位表示させる施策です。SEOによる集客効果は長い目で見る必要がありますが、広告費をかけずに売上アップが狙えるため、ECサイトをはじめるなら身につけたいスキルのひとつです。
●SNS
SNSを使った集客手法には、ショップアカウントの運用やインフルエンサーマーケティング、SNS広告などがあります。TwitterやInstagramといったSNSには拡散力があり、新聞・雑誌など従来の広告媒体では十分な反応が得られなかった層にも訴求できます。
●インターネット広告
インターネット広告とは、検索エンジンやウェブサイト、ブログ、SNSなどに表示させる広告です。不特定多数に広く訴求するテレビCMや新聞とは異なり、インターネット広告はターゲットを絞って配信できるため、より費用対効果の高い広告といえるでしょう。
規約周りの設定
ECサイトをはじめるときは、サイトの利用規約やプライバシーポリシー、特定商取引法に基づく表記を明確に設定しておきましょう。
利用規約は定型的な取引条項として契約書の代わりとなるもの、プライバシーポリシーは顧客情報の取り扱いに関する方針を定めたものです。
また、ECサイトには特定商取引法に基づく表記のページをつくり、運営者の名称や所在地、連絡先、(必要があれば)資格・免許、不良品があった場合の対応、返品期限などを明記する必要があります。
ECサイトの立ち上げには他にもやるべきことがたくさんあり、規約周りはついつい後回しにしてしまいがちです。
しかし、初めから規約周りをしっかりと整えておけば、後々のトラブルを防ぐことにつながります。
もし何らかのトラブルが発生したとしても、具体的に明示された規約があればスムーズな問題解決が可能です。
カスタマーサポートの導入
カスタマーサポートとは、お客様からの問い合わせに対応する業務です。
消費者が数あるネットショップの中から商品を購入する店舗を選ぶ基準・指標はさまざまで、カスタマーサポートの良し悪しもそのひとつ。
カスタマーサポートが充実していれば顧客の満足度が上がり売上アップにも影響しますが、対応が不十分だと判断されれば顧客離れにつながります。
モノやサービスがあふれる現代において、消費者から選ばれるショップをつくるには、商品やサービス以外にも「付加価値」が必要です。
ECサイトのカスタマーサポートは電話やメール、チャットでの対応が基本となり、直接お客様と対面して対応することはほぼありません。
だからこそ、こうした連絡ツールの向こうには「人」がいることを意識し、質の高いカスタマーサポートを提供する必要があります。
ECサイトの運営に求められるスキル
「BASE」「STORES」といった簡単にネットショップをはじめられる無料ASPも誕生し、今やECは初心者でも参入しやすい領域といえます。しかし、安定したサイト運営で売上をあげていくには、一定のスキルが必要です。
ここでは、ECサイトを運営するうえで身につけておきたいスキルをご紹介します。
基本的なITスキル
ゼロからサイト構築にかかわらない限り、ITに関する高度な知識・技術は必要ありません。
しかし、インターネットを介して販売するECサイトの特性上、サイト運営者には基本的なITスキルが求められます。
たとえば、インターネットを使ったリサーチ、メール・チャットツールによる問い合わせ対応、SNSでの情報発信など、ネットショップの運営に必要な作業は問題なくこなせるようにしておきたいところです。
市場分析・商品企画スキル
ECサイトで安定的な売上を見込むには、第一に「売れる商品」を販売することです。
この「売れる商品」の見極めに欠かせないのが市場分析であり、現在のトレンドやこれから流行りそうなものを調査し、ターゲットユーザーのニーズに沿った商品企画につなげていくことが大切です。
また、ECサイトでは実際に消費者が商品を手にとって検討することができず、サイト上に表示する画像や文章も購入の判断基準となります。
そのため、「売れる商品」を選定・開発する技術だけでなく、商品の魅力が伝わる画像、独自性や強みをアピールする文章をつくる技術も必要です。
Webマーケティングスキル
インターネット上で集客するなら、基本的なWebマーケティングスキルも身につけておきたいところ。
しかし、数あるWebマーケティングをすべて実行するとコストがかかり過ぎてしまうため、ECサイトの目的やターゲットユーザーに合った施策で集客アップを狙うのがポイントです。
たとえば、より多くのターゲットユーザーからの認知を得るにはインターネット広告、若い世代へのアプローチにはTwitterやInstagramなどのSNSを使った集客手法が効果的です。
ECサイトにおけるWebマーケティングでは、第一にターゲットユーザーを明確にし、その対象に合わせた施策をおこないましょう。
カスタマーサポートスキル
ECサイトの運営にあたっては、CX(カスタマー・エクスペリエンス/顧客体験)が売上に与える影響を理解しておく必要があります。商品の性能・価格は差別化しにくい合理的な価値ですが、CXを高めることで顧客が受け取る価値が向上し、結果的に他のショップとの差別化につながります。
出典:NRI(株式会社野村総合研究所)|CX(カスタマー・エクスペリエンス)
お客様からの問い合わせに対応するカスタマーサポートスキルを高めるには、必要なサポートを早急に提案・提供できるように、販売する商品・サービスの特徴や性能をしっかりとインプットしておくことが大切です。
また、問い合わせ方法は固定せずに複数用意しておく(電話、メール、チャット、Webフォーム、SNSなど)、顧客からの質問が多い項目は「よくある質問」としてECサイト内に別途ページをつくっておくなど、なるべくお客様に労力をかけない工夫も求められます。
まとめ
ネットショップ通販(ECサイト)をはじめるときの注意ポイントは以下のとおりです。
1. 在庫の確保
2. 梱包資材の準備・配送方法の決定
3. Webマーケティング・集客テクニックの習得
4. 規約周りの設定
5. カスタマーサポートの導入
ECサイトの立ち上げには、サイト設計や商品画像・説明文の作成、商品登録、決済方法の設定などさまざまな作業がともないます。上記の5点は見落としたり後回しになったりしやすい項目ですが、安定したサイト運営をしていくためにはどれも必要不可欠です。しっかりと事前準備をして、ECサイトの運営をはじめましょう。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。