食品スーパー「ベイシア」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

スーパーマーケット(SM)は品揃えや鮮度はもちろん大切な要素です。とはいえこんな時代だからこそ、店内の演出、楽しい売場づくり、店の側のちょっとした気遣いなどが、お客さまの“琴線に触れる=心からホッとさせる”効果につながったりします。

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。好調企業の現状の店頭の実態=FACTと、それが顧客の「また来たい」という印象(私たちはこれを「再来店動機」と呼んでいます)に与える要因などを解析することで、小売業の皆さんにこんな時代のお客さまの “琴線に触れるポイント”“また来たいと思ってもらえる勘どころ”を伝えたいと考えました。

今回、調査したのは北関東中心に139店(2021年2月末)のSM、衣料品も有するスーパーセンター、ショッピングセンターなどを運営するチェーンストアのベイシアです。同じグループにはホームセンター最大手のカインズや、低価格と高機能で話題のワークマンなどがあります。

 

安さにプラス“こだわり”“簡便”  チープではない新しい価値

 

ベイシアといえばすぐに思い浮かべるイメージが“安さ”です。今回の調査でもスタッフのコメントには「大根98円、キャベツ128円などが“激安”として陳列されていて安さイメージを感じられた」「スナック菓子(えびせん・サッポロポテトが78円)などが安かった」というものが数多くありました。

 

しかしそれ以上に今回の調査で印象に残ったのが“簡便さ、便利さ”のイメージでした。「ミールキット『O-easy su-easy(オイージー スイージー)』は、カット済みの食材・調味料・レシピがセットになっているので“誰でも簡単に、ボリュームのあるメイン料理を作ることができます”という通り、簡単に調理できる素材が組み合わせで販売されていて目をひいて良かった」や「『O-easy su-easy』と、各売場で商品やPOPで訴求されていた」などの調査の結果がありました。店頭ではこうしたオリジナルのミールキットが目に付く売場展開になっています。

 

安さを徹底追及する一方で、生鮮三品でもオリジナル商品の訴求が多く見られました。国内産の「和豚もちぶた」、牛肉の「匠味絆牛」、タイ産ですが飼料にこだわったタイ産「米どり」などオリジナル商品が多くあります。店全体の安さは訴求しながら、どこでも売っている商品をただ安く売るようなチープさ=安っぽさは感じない店内になっていました。

 

こうしたオリジナルの生鮮食品は“簡便”とも結び付いていて「『和豚 もちぶた』を使った味付け肉(西京みそ漬け・ロース5枚入り)458円や、肉にくしい肉焼売398円などがありました。オリジナリティだけでなく、便利さも追求していて魅力的だった」などのコメントも見られました。

 

即食の惣菜売場では「『彩味旬彩』のPOPには「鮮度の良い生魚をオーブンで焼き上げました」と注が朱書きしてあり、品質の良さも訴求ポイントとなっていた。焼魚は自宅調理を避けたい人もいると思うので、嬉しい品揃えだった」などと、製法のこだわりもよく分かりました。

 

店内には子供を連れて買物をする姿が多数ありました。子育て世代にとって安さは重要な要素ですが、その一方で“安全安心”も捨てたくはない必須の条件です。このこだわり商品たちは、こうした顧客の琴線に触れることは確かでしょう。

 

安さ実現のためにローコスト化  さらに顧客視点も両立する

 

ベイシアでは安さを実現するためにはローコストオペレーションを追求する姿勢も徹底しています。これも今回のリサーチで数多く見られた事実でした。

 

「広い売場に対してレジスタッフが3名ほどの稼働だった。売場は十分にメンテナンスされ、夕方でも商品が豊富だったので、フロアスタッフは1名だけだった」「床面はピカピカに磨かれていて、照明が映り込んでいた。商品も照明に映えていて、商品を魅力的に見せていた」などローコストな運営を徹底しながら、売場メンテナンスレベルの高さを評価する声も多くありました。

 

興味深い点は、商品陳列の手間を省くコンテナ陳列をしながら、店頭の牛乳の売場は消費期限全てが目に見える形で並べられていたこと。「消費期限をいちいち手に取らずに見えてとても買いやすいと思った」などの声もあり、牛乳なら必ず確認したい日付が顧客の側に見えやすいという”顧客視点もあるローコスト売場”の工夫は、お客様にはうれしいポイントになるでしょう。

 

サービス面では「店のスタッフがほとんどいなかった。売場を聞いているお客様には、返事をして誘導にて案内していたが笑顔はなく接客を積極的にしようという感じはなかった」「品出しと在庫チェックをしているスタッフが非常に多く、欠品がある売場はほとんど無かったが、一方で近づいても挨拶は無かった」というシーンもありました。これは挨拶などより売場のメンテナンスや”セルフサービスの完全実施”を優先する策を徹底する方針と感じました。

 

売場は「通路幅が、どこの売場であっても十分に広く(180cm以上)、大変買い回りしやすく、大型カートで買物するのが楽で安心できる買物環境だった」という声もあり、むしろコロナ禍の今は“サービス面のトレードオフ(=無駄な機能を省いて必要な機能を強調すること)”は正解かもしれないと感じさせるオペレーションです。

 

レジは「レジスタッフのしっかりした手袋や、サービスカウンターなどの飛散防止シートなど従業員の安全もしっかり確保している印象で安心感があった」「通常レジの他にセルフレジコーナーがあり、2名のスタッフが常駐していた。操作方法がわからないお客様のサポートをしていた」などチェックアウトのサービスレベルは確実なものだったことは、セルフサービスの強化戦術に通じています。

 

また店内のレジ付近には「『スマートフォンを持っていないお客様!!』『ベイシアポイントカードは、サービスセンターにて新規発行受付中』と大き目サイズの告知が、レジ付近、サッカー台付近、サービスカウンター付近の何か所も掲載」していました。若い客層だけでなく、スマホを持たない高齢者にも心憎い表示です。

 

「万が一のマスクを忘れた際にも1枚20円で販売するなどきちんと対応していて安心感」があり、こうした掲示は顧客視点で見ると好印象に感じます。

 

店内はカート客がほとんどで、カートにカゴ3個を載せて子連れで買物する姿がたくさんありました。コロナ禍で何度も店に行かないでまとめ買いをしたいニーズは継続していますし、子供の感染も心配なので“一度にまとめて、サッと買って、サッと帰りたい”という効率的な買物は、今の顧客側のニーズとして強くあります。

 

ベイシアの売場は価格表示が大きくて全体的には見やすい、買いやすいシンプルな印象です。しかしそこでは、店の側の効率化だけではなく顧客側の買物の効率化との両立、安さだけではなく便利さと質へのこだわりの実現などの要素がバランスよく成立していると思います。シンプルだけれどもこうした点がこの店の人気の秘密だろうと思います。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードして頂けます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

ベイシアダウンロード資料|エイジスリサーチコンサルティング

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    自店の強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
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    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
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    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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