「ロピア」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング(ARC)は、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。ARCのスタッフ、調査員が好調企業の“店頭の実態=FACT”を調査し、それが顧客の「また来たい」という印象(これを私たちは『再来店動機』と呼んでいます)に与える要因をお伝えするのがこの連載です。

今回の視察は、関東を本拠としながら関西、九州、台湾など各地に出店し、大繁盛で話題となっているロピアを取り上げました。最近では大手GMS企業が撤退する北海道、東北への出店も計画・公表しており、ますます話題性は高まっています。

ロピアは株式会社OICグループの傘下の小売業ですが、グループには他にスーパーバリュー、アキダイなどの小売企業や利恵産業、丸越醸造の製造業、日本マイセラなどの輸入業、外食などを持つ、製配販を垂直統合するコングロマリットです。グループ年商は4126億円を数えています。

ロピア自体も1971年の肉の宝屋を創業とし、その後、総合化してスーパーマーケット(SM)に転じユータカラヤに、そして2011年には現在のロピアに社名変更しています。2023年9月段階で97店舗を数えます。肉の専門店を祖業とすることから肉売場は魅力的だし、精肉の加工品を中心にした自社製造したハム、ソーセージなども人気です。

ロピアの社名の由来は“ローコスト・ユートピア”、和訳すれば“低価格の理想郷”といった意味です。店頭には『“同じ価格であればより良く、同じ品質であればより安い”が企業理念。売場にその会社理念の看板が掲出されて』いました(『』内は別紙・ダウンロード用資料の調査スタッフのコメントより<以下同>)。ではこの“ユートピア”の意味を調査の中から確認していきましょう(調査時期は2024年5月、価格は本体価格)。

ボリューム、価格、品質でユートピア=理想郷を実現

 

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ユートピア、理想郷ということで第一に、お客がその商品の“ボリューム感”などにわくわくするようなコメントがありました。特に肉は『とにかく種類が豊富で肉の専門店のよう。国産のみなもと黒毛和牛、適霜肉が一番目立つところに配置されていた、その他牛は「ミスジ」「クリ」「トモ三角」、豚、鶏肉の国産、海外産の定番部位だけでなく希少部位が買えたり、ボリューム感を出すため大容量や分厚く大きくカット』とあり、部位の多彩さに加えてボリューム感に心が動いたスタッフが多かったようです。『BBQシーズンなのでキャンプに行く前にロピアで肉を買ってそのまま現場でグリルするだけでOK』という言葉もありました。

 

このボリューム感は他の売場にも共通していて、惣菜売場のロピア特性チキンカツ(国産鶏使用) (1枚350円/ジャンボサイズ)ならば『お惣菜コーナーであまり目立たない所に配置されていたこの商品。デカ盛りでこの値段!我が家はどちらかというと小食なので家族5人でカツ丼にすると丁度足りるくらいのボリューム。1食あたり100円くらいでお得』というボリューム感でした。チルドの冷蔵ケースにも“ロピアのほっぺプリン(3個599円)”ならば『ロピアのほっぺプリンはとにかく大きくて食べ応え十分。子供達には1個を3等分して分けた。お皿に乗せて形が崩れないのも楽しい!これで1個\200はお買い得』という大きさに対する感動がありました。

 

第二に、関連して価格に対するわくわく感もあります。リサーチ会社らしく店頭を調べた調査員もいましたが『近くに西友があったので精肉の価格を比べてみた。豚ロース・・・ロピア 100g99円:西友 100g129円(アメリカ産)/鶏もも肉・・・ロピア 100g79円: 西友 100g129円 (国産)/鶏むね肉・・・ロピア 100g58円 /西友 100g79円 (国産)』などと同等の品目でも一定の価格差があったようです。加工食品などでは『オリジナル商品とナショナルブランド商品を併売することで自社商品へ誘導し購入して貰えるような工夫が売場作りから読み取れ』、実際にイベントのような形で『味噌対決・・・ロピアオリジナル 信州みそ 750g 199円VSマルコメ出し入り料亭の味 750g 319円/お好み焼き粉対決・・・ロピアオリジナル こだわりの山芋ふわっお好み焼き450g 209円 VS 日清ウェルナ 500g 299円』など楽しい印象でオリジナル商品を売り込む工夫もありました。

 

第三に、価格にも関連しますが、“期待以上の品質”にわくわくする事実もありました。精肉専門店出身ということで肉部門の加工品は人気ですが『100%国産ポーク自社製薫煙粗びきウィンナーは同じ価格帯の他メーカー(日本ハム/豊潤ウィンナー 6本×2袋 298円)と比較すると、保存料が少ないせいか、消費期限が1週間くらい短く肉本来の味がする。皮がなめらかでパキッポキッとはしないが口の中に残らない。肉汁がスゴイ。そのままでも充分美味しいが関連商品で購入したケチャップ&マスタードを付けて更に美味しさアップ!』といった実食した感想にも、品質の高さ、安全安心への信頼感が記録されていました。

 

ロピアの属するOICグループは製造業も垂直統合したコングロマリットです。ロピア自身もSMとして店内加工を多くすることで顧客の反応を見ながら大型パックの商品を加工することもできますし、製造業も包括した企業グループなので加工食品などもオリジナルのサイズ、品質で製造することは可能です。ロピアの店頭はこうした強みを生かして、ボリュームや価格、品質でわくわくできる“ユートピア”を実現しているようです。

 

 

店側が楽しむ情報発信 現金のみのレジも不満なし

 

 

商品自体の魅力に加えて、POPなどの情報発信や、商品自体のネーミングにも“わくわく感”を感じさせる工夫がありました。ロピアの運営は基本的には“個店経営=個々の店舗のスタッフの独自運営を生かす”ことを目指していて『生鮮売場において、青果コーナーは“八百物屋あずま”、鮮魚コーナーは“日本橋魚萬”、精肉コーナーは“肉のロピア”、総菜コーナーは“肉の十八番”などの名称がつけられ、1つのスーパーの中に、それぞれ専門店が入っているイメージ』になっていました(一部、テナントもあり)。

 

従って店によって異なりますが『商品パッケージのラベルに単刀直入に伝えたい言葉が表示されていて面白い。「毎日特売価格」「刺身などに」「頑張ってます」「クレイジー価格」。「!!!!」のラベルは個性的で意味は何だろうと考えたが・・この商品を見つけられてビックリ!という事なのか??』などのパッケージがあったり、『肉のロピア やっぱり肉が好き BBQ/担当者一押し その理由は 赤身と霜降りの部位がバランスよく味わえる 焼肉盛り合わせ/肉にうるさいバイヤー一押し/うなぎドデカイ長焼』など独特な商品訴求がありました。POPも『言葉が学生風。「やっぱこれなんだよねー」「こいつめっちゃ有能なんです!めちゃくそ美味しいですよ!」「まとめて買うのがおススメですー。日持ちするからねー」』などと親近感のわくような表現が多いし、『知りたい情報がチャートでわかるのでお客様目線に寄り添った親切で商品選びが楽しくなるような工夫がされている』のも印象的でした。

 

『思わず読んでしまう長いアピールコメントもあって「ふっくらもちもちの単に甘辛のタレがからまった薄切りの牛肉をのせるだけの簡単ナン料理!!ロピアの美味しいプルコギとナンの相性バツグン!!ちょい足しで、温泉卵をトッピングしてまろやか絶品!!」』などの表現もありました。店の側が楽しんで商売しているような感覚が伝わってきます。

 

一般的には食品の買物は“義務的”と言われていて、衣料品などのファッションや楽しいグッズなどの購入と違って決して楽しいものではないと称されます。従ってSMの買物は短時間で快適に購入できる“ショートタイムショッピング”が最重要なコンセプトと考えられています。

 

しかしロピアの買物は楽しい売場やわくわくする情報発信を実現することで、時間がかかっても満足できる店を実現しているように感じました。現にロピアの売場には若い主婦層、家族連れ、子供も伴ったファミリー客も多く、こうした顧客が“みんなで”数多い商品を購入することで高い買上点数を実現していることが想定されます。

 

こうした一方でプライスカードなどは『わかりやすい3種類のプライスカードで「毎日この価格」「期間限定」「競合店対抗価格」』と整理されていて、比較的アイテム数の多い、ともすれば雑然とする売場もうまく整理されています。

 

レジは『現金のみしか使えない』のも特徴ですが、これも『会計は現金のみでレジはスムーズで待たされた感じが薄い』という印象につながり顧客のキャッシュレスが拡大する現代でも“不満”にはつながっていないようです。『レジのカゴ回収&セッティングのスタッフがいて、会計が止まることがない』『レジ前の並びがあることが多いが、いつもレジが空いたら手を挙げて「どうぞ!」と呼んでくれる』など、多い買上点数にも関わらず“待たされた感”が少ないのも特徴的でした。

 

もちろん小売業は商品が“命”です。ここを外しては人気の店になることはできませんし、ロピアも“同じ品質ならより安く、同じ価格ならより良く”のコンセプトでわくわく感を体感できる商品を実現しているようです。同時に楽しい買物、面白い情報提供、店側の躍動感などを伝えることでロピアの売場は、魅力的な商品に目に見えない“プラスα”を付加しているようにも感じますし、“低価格のユートピア”が顧客にも伝わっています。

 

こうしたところがどのエリアに出店しても大繁盛するロピアの人気の秘密だと感じた今回の調査でした。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードして頂けます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

 

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    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
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    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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