小売業におすすめのSNS広告とは?広告の種類や仕組みをご紹介
SNS広告が小売業の広告手段として広く活用されています。
SNS広告はTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNSの普及と連動して注目度が高まっています。
SNS広告はそれぞれのSNSの特徴を活かすことがポイントです。そこで今回は、小売業におすすめのSNS広告の種類や仕組みについてご紹介します。
SNS広告とは
SNS広告とは、インターネット経由で表示されるインターネット広告のうちTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNSを活用した広告全般のことをさします。
小売業が注目すべきSNS広告の活用
2021年3月に株式会社電通からリリースされた調査レポート「2020年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」によると、2020年度は新型コロナウイルスの影響から日本の総広告費が前年度から大きく減少する中、インターネット広告は成長を継続し、総広告費全体の36.2%にのぼりました。
インターネット広告の中でも、SNSやYouTubeなどの動画配信プラットフォーム上に表示されるソーシャル広告の割合は前年を上回りインターネット広告媒体費の3割を超え大きく進展しています。
SNS広告は、ソーシャル広告の43.7%を占めていますので、広告手法として広く活用されていることが分かります。
インターネット広告媒体費は毎年増加しており、SNS広告の活用も今後継続して拡大していくことが推測されます。
小売業は、広告手段としてSNS広告に注目すべきではないでしょうか。
参照:株式会社電通 NewsRelease 2021年3月10日調査レポート「2020年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」
SNS広告とリスティング広告
近年、パソコンやスマートフォンなどが普及する中で、インターネットを経由して消費者にアッピールする広告を検討する小売業も多いでしょう。
小売業が自社の広告を考えるとき、SNS広告と並び選択肢に上がるのがリスティング広告ではないでしょうか。
リスティング広告とは、消費者がパソコンやスマートフォンで検索エンジンを使って検索を行った際の検索結果画面の上部または下部に表示される広告です。
リスティング広告は、消費者が入力した検索キーワードをもとに表示されるので、広告を出している小売業の商品・サービスに一致している(または類似している)ニーズが顕在化している消費者に見てもらえる期待が持てる広告手法です。
一方SNS広告の多くは、リスティング広告とは異なり特定の検索をした消費者に向けての広告ではなく、まだニーズが顕在化していない潜在層を含めた消費者に向けての広告になります。
つまり、SNS広告の大きな目的は、潜在層を含めた消費者に広告を発信して、小売業の商品・サービスや小売業自体を消費者に認知してもらうことといえるでしょう。
SNS広告のメリット
SNSは日常的に広く消費者に使われているツールですので、小売業にとって採用を検討すべき広告手段でしょう。
また、小売業がSNS広告を活用することでいくつかのメリットを得ることができます。この章ではSNS広告のメリットを6つ紹介します。
SNSのターゲットデータを活用できる
代表的なSNSとしてTwitter、Facebook、Instagram、LINEがありますが、これらのSNSについての利用者層データが存在します。
たとえば、総務省では「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を公表しており、SNSごとの年齢別利用率を確認することができます。SNS利用者層のデータを見れば、ターゲットを考慮した広告戦略が立てられるわけです。
また、SNS自体にも利用者のデータが存在します。たとえば、年齢、性別、住所などで広告を表示するターゲットを絞ることができるのです。
小売店の中でもある一定の年齢や性別をターゲットとしている場合は、ターゲットとなる層が多く利用しているSNSに広告を出していくことを検討すればよいわけです。
それぞれのSNSの利用者層については「SNS広告の種類」の章で詳しく解説します。
コストパフォーマンスが期待できる
広告の費用は一般的に広告を出すことによって費用が発生しますが、SNS広告では、消費者のアクションによって料金が発生する課金形式をとるケースが多くなっています。
課金はたとえば消費者がクリックした数や広告が表示されたインプレッション数、「いいね!」「リツイート」「コメント」などのエンゲージメント数などによって設定されています。
詳しくは「SNS広告の費用課金形式」の章で詳しく解説します。
消費者のアクションによって料金が発生する課金形式のため、コストパフォーマンスが期待できる広告手法といえるでしょう。
消費者に自然にみられるインフィード広告
SNS広告の多くはタイムラインで表示していくコンテンツ間に表示されるインフィード広告であるため、閲覧している消費者が違和感なく広告を目にする可能性が高まります。SNS広告では対象のSNSと同様のフォーマットを使用し同じイメージで小売業の広告が表示される点も、消費者に自然にみられるメリットといえるでしょう。
拡散効果が期待できる
SNSの大きな特徴に一つに拡散力があります。SNS広告においてもSNSの持つ拡散力は大きなメリットになります。SNS上で話題となれば、消費者間で次々に拡散が行われ、潜在層へ広く広告を見てもらうことができます。
SNSによって商品やサービスが拡散していった小売業の事例も数多くみられます。
ブランディングの向上
SNS広告は対象のSNSと同様のフォーマットを使用し同じイメージで小売業の広告が表示されるインフィード広告であるため、消費者に違和感を与えることなく工夫次第で画像や動画によって小売業のブランディングを向上させることが可能です。
また、SNSは消費者が日常的に使用しているツールであるため、SNS広告を身近に感じる効果も期待できます。
ファン化の拡大
SNSは、消費者が単に見るだけではなく「いいね!」「リツイート」「コメント」「シェア」「フォロー」などのアクションを起こすことができます。
消費者が小売業のSNS広告に興味をもち、アクションを起こすことは、ファンに近づく一歩になるでしょう。
さらにSNSは小売業から消費者に向けての一方的なコミュニケーションではなく、相互にコミュニケーションを取ることができるツールです。相互のコミュニケーションが起これば更にファン化の拡大につながります。
SNS広告の種類
SNS広告はおもにTwitter、Facebook、Instagram、LINE上に表示されます。この章ではそれぞれのSNSの特徴を活かした小売店におすすめのSNS広告4種類を解説していきます。
Twitter広告
総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、Twitterの利用率は、全世代で42.3%にのぼります。
内訳としては、20代が79.8%と最も高く、10代67.6%、30代48.4%となっています。小売業の広告としてTwitter広告が適しているポイントは以下の4点でしょう。
・拡散力を期待できる
小売業がSNS広告を採用した時のメリットのひとつに拡散力がありますが、SNSの中でもTwitterは強い拡散力を持っています。
Twitterの「いいね!」「リツイート」などの機能によってSNS広告が広く拡散していくことが期待できます。
・ 消費者の属性によるターゲティングができる
Twitterで把握しているユーザーの年齢、性別などの属性をもとに広告戦略をたてることが可能です。
・ 消費者のフォローをもとに広告を表示できる
消費者がTwitter上で興味のあるアカウントをフォローしているケースは多くみられます。つまり、小売業の商品やサービス、企業の特徴などに関連するアカウントのフォロワーに広告を表示すれば、アクションを得られる可能性が高まることになります。
Twitter広告ではアカウントを決めてそのアカウントのフォロワーを対象に広告を表示することができます。
・ 消費者が発信したキーワードをもとに広告を表示できる
Twitterで消費者は自分の意見、心境、悩み、考え方などを出稿する(つぶやく)傾向があります。
消費者のつぶやきの中にあるキーワードは、その人のニーズに結びつく可能性が高いといえるでしょう。
小売業としては、提案する商品やサービスに関連するキーワードが含まれた出稿をした消費者に向けて広告を表示すれば、アクションを得られる可能性が高まることになります。Twitter広告ではキーワードを決めてそのキーワードが含まれた出稿をした消費者に広告を表示することができます。
Facebook広告
総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、Facebookの利用率は、全世代で31.9%となっています。
内訳としては、30代が48.2%と最も高く、20代39.3%、40代35.9%、50代33.5%と続き、20代から50代にかけてトータル的に利用されているSNSといえるでしょう。
Facebookの特徴は利用者が実名で登録しており、年齢、性別、居住地、学歴、経歴、言語、興味・関心などの個人情報がデータとして蓄積されている点です。
小売業の広告としてFacebook広告が適しているポイントは以下の3点でしょう。
・目的に合わせた広告のタイプが用意されている
Facebookには、小売業の目的に合わせた広告タイプが用意されています。
認知度
「商品やサービスに関心を持ってもらう」「ブランド認知を高める」ためにできるだけ多くのFacebook利用者に向けて広告を表示します。
検討
「商品やサービスを選択肢に加えて、さらに詳しく知りたいと思ってもらう」ために小売業のウェブサイトなどのリンク先に誘導します。
また、Facebook利用者をターゲティングして「いいね!」「コメント」「シェア」などのアクションを起こす可能性が高い層に広告を表示します。
コンバージョン
Facebook利用者に商品やサービスの購入、来店、電話での問い合わせなどのアクションを促すためのキャンペーン広告を表示します。
・居住地による広告戦略ができる
Facebookに蓄積された利用者の居住地データを活用して、エリアによる広告戦略をたてることができます。
エリアが重要な小売業にとっては、エリア戦略がたてられることは大きなメリットです。広告を表示したいと考えているエリアに居住している消費者を選別して広告を表示させることができるわけです。
・ 年齢、性別、学歴、経歴、言語、興味・関心などでターゲティングできる
Facebookでは利用者が実名で登録しており年齢、性別、学歴、経歴、言語、興味・関心などの個人情報がデータとして蓄積されています。
小売業がデータを特定して広告を出すことで消費者からのアクションの可能性が高まることが期待できます。
Instagram広告
総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、Instagramの利用率は、全世代で42.3%となっています。内訳としては、20代が64.0%と最も高く、10代63.4%、30代48.6%と続きます。
Instagram広告の特徴は、画像による印象を強く消費者に与えられる点でしょう。また、ストーリーズの機能を使えば、数秒間広告を表示することができます。
イメージを重視するアパレル・コスメ・美容室・飲食店などの小売業にとってはおすすめのSNS広告です。
LINE広告
総務省による「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、LINEの利用率は毎年増加し、全年代利用率が90.3%となっています。
LINEは消費者が日常的にトーク機能を使ってコミュニケーションをはかっているツールであり、LINEの利用率はSNSの中で最も高く、小売業が注目すべきSNSでしょう。
小売業にとってLINE広告の魅力は、10代から60代にわたって利用率が高い点でしょう。特に50代以降Twitter、Facebook、InstagramなどのほかのSNSは利用率が低下し、50代で3割弱、60台で2割以下になりますが、LINEの利用率は、50代で85.4%、60代でも76.2%を維持しています。50代以降の消費者も重要なターゲットとする小売業にとってLINE広告は魅力的です。
LINE広告は、トーク画面、LINEニュース画面、タイムライン画面などに表示することができます。
SNS広告の費用課金形式
SNS広告では、消費者のアクションによって料金が発生する課金形式をとるケースが多くなっています。SNS広告の費用課金形式は以下になります。
クリック課金(CPC)
広告がクリックされると課金されます。
Twitter広告、Facebook広告、Instagram広告、LINE広告に採用されています。
インプレッション課金(CPM)
広告表示回数に応じて課金されます。
Twitter広告、Facebook広告、Instagram広告、LINE広告に採用されています。
アプリインストール課金(CPI)
広告経由でアプリがインストールされるごとに課金されます。
Twitter広告、Instagram広告に採用されています。
動画再生による課金(CPV)
動画広告の再生数に応じて課金されます。Twitter広告、Instagram広告に採用されています。
エンゲージメント課金(CPE)
「いいね!」「リツイート」などのエンゲージメントが発生すると課金されます。
Twitter広告に採用されています。
フォロー課金
広告経由でアカウントのフォローが発生すると課金されます。
Twitter広告に採用されています。
SNS広告の注意点
SNS広告は、小売業にとってメリットの広告手法ですが、運用していく際には注意点があります。この章ではSNS広告を運用していく際に注意しておくべき点を2点紹介します。
広告内容を厳重に確認する
SNS広告のメリットのひとつに拡散効果が期待できる点があります。SNS広告は非常に拡散力がある広告手段です。
小売業にとって良いことが拡散されることは望むべきことです。一方で悪いことが拡散する可能性があることにも注意が必要です。
消費者に不快な印象を与えたりや誤解を招くことがないように、広告の内容は厳重に確認する必要があります。
リソースを確保する
SNS広告を始めることはとても簡単です。これはSNS広告の利点です。
一方で費用対効果のあるSNS広告を継続していくためには、効果測定のデータをもとに改善していく必要があります。
SNS広告を運営していくためには、SNS広告に関わるリソースを確保する必要があるでしょう。
まとめ
SNS広告にはTwitter広告、Facebook広告、Instagram広告、LINE広告などの種類があります。
それぞれのSNS広告には、特徴がありますので、小売業の業種や広告を出す目的によって適したSNS広告を選択していくべきです。複数のSNS広告を使うことも良い方法です。
SNS広告は広告の効果を測定する機能を持っているケースが多いので、広告を出した後も効果を確認して広告戦略を改善していくとよいでしょう。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。