【2024年版】複合商業施設(ショッピングセンター)の課題と解決法
目次
一般社団法人日本ショッピングセンター協会の 「SC白書2023」によると、2022年末でショッピングセンター総数は3,133施設にのぼり、商圏内での競争が激化しています。
また、オンラインショッピングの普及や自動化・テクノロジーの活用、SDGsなど、ショッピングセンターの課題は多岐にわたります。
そこで今回はショッピングセンターの課題をテーマにその解決法と現状分析に最適な覆面調査について解説します。
ショッピングセンターの課題と解決法
ショッピングセンターの課題には下記の6つがあります。
- 競争激化による差別化の必要性
- オンラインショッピングの普及
- 自動化・テクノロジーの活用
- SDGsの取り組み
- 人の流れの最適化
- 顧客とのコミュニケーション強化
競争激化による差別化の必要性
ショッピングセンターは、商圏内での競合が増加傾向にあり、多くのショッピングセンターが同じようなテナントや商品を提供しているため、競争が激化しています。
そのため、施設の差別化や接客レベルの向上が大きな課題となっています。
独自の差別化戦略を実施
施設の差別化のためには、独自の差別化戦略を実施していくことが必要です。
たとえば、個性的な飲食店や話題性のある流行りのブランドを獲得する方法があります。
また、心地いい魅力的なパブリックスペースも重要です。
高齢化が進む中で高齢者の居場所的な役割や、子供や子育て世代などの多世代にとって利用価値の高い施設にしていかなければなりません。
販売促進として、特別なイベントや限定商品の導入などを継続して実施していくことも重要です。
接客レベルを向上させる
接客レベルを向上させることで、ショッピングセンターのイメージアップをはかり競争力を高めることができます。
企業や店舗の接客レベルが向上することで、顧客に対するサービスの品質が向上し、その結果顧客満足度がアップします。
顧客満足度の向上によって、固定客が増え、来店頻度が高まることが期待できます。
オンラインショッピングの普及
近年オンラインショッピングが普及することで、実店舗への来客が減少している点もショッピングセンターの課題でしょう。
ECサイトのオンライン注文とショッピングセンターの実店舗での受取りなど、オンラインとオフラインが連携可能な環境を整えることが解決法になります。
また、ITツールの進化によって、ショッピングセンターのサイトなどから、顧客がオンライン画面上で専門スタッフからリアルタイムで接客を受けることが可能となっています。
顧客は、現物商品を画面上で確認できることや使用方法を実際にみることで、新しい顧客体験をすることができます。
自動化やテクノロジーの活用
ショッピングセンターはとても広い施設であり、施設内の従業員数は膨大になります。
そのため、人だけの労力で管理運営することは困難であり、自動化やテクノロジーの活用が大きな課題です。
施設内の管理
広い面積を持つショッピング施設内では、最新のテクノロジーを採用した自動清掃ロボットや在庫管理システム、受付ロボットなどが必要です。
従業員の管理
ショッピングセンターに勤務する従業員数は膨大であり、入社や退社などに伴う従業員証の管理をアナログで行うことは大きな労力がかかります。
従業員証をスマートフォン上で管理可能なデジタル化することで、事務担当者の負担を軽減することができます。
従業員証のデジタル化はショッピングセンター施設に入退店時のセキュリティー強化にもつながります。
テクノロジーの進化に対応せず、デジタル化が不十分である。
解決法:顧客のオンライン活動を追跡し、個別のニーズに合わせた情報やプロモーションを提供するためのデータ分析ツールを導入する。また、スマートショッピングカートやVRを活用した店内ナビゲーションなどの革新的なテクノロジーを導入することで、顧客体験を向上させる。
SDGsの取り組み
企業において環境への配慮が求められ、SDGs(持続可能開発目標)への取り組みが必要となっています。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーの使用や廃棄物のリサイクル、環境に配慮した商品の取り扱いなど、環境に優しい取り組みを積極的に実施し、SDGs(持続可能開発目標)をテーマとしたマーケティングや広報活動を行うことで顧客に対してショッピングセンターの社会的責任をアピールすることが必要です。
人の流れの最適化
ショッピングセンター施設は、大型でありピーク時や需要の変動を把握することが困難であり、効果的な人の流れを確保することが難しいと言われています。
ショッピングセンター内に複数のカメラを設置し、画像解析とモニタリングをするサービスなどを導入してリアルタイムのデータ分析を行います 。
データ分析によってピーク時や催事日における来客の傾向を把握できるので、スタッフ配置やセンサーを利用した適切な案内やサポートが可能となります。
また、データ分析を活用して人の流れに合ったフロアプランやデザイン変更により、効果的な店内の配置を検討することができます。
顧客とのコミュニケーション強化
顧客とのコミュニケーション強化もショッピングセンターの大きな課題のひとつです。
SNSやアプリなどのコミュニケーションツールを活用できる環境を整備し、継続して高頻度で更新しながら、顧客との双方向のコミュニケーションを強化します。
また、顧客ニーズを探り、顧客が求めるイベントやワークショップを開催していきましょう。地元コミュニティとの協力など、地域社会とのつながりを深め、顧客との絆を築くことも効果的です。
課題の現状分析に最適な覆面調査とは
ショッピングセンターの課題解決のために、まずは現状を把握することが大切です。
また、なんらかの施策を行ったあとでも状況を確認して継続的に改善していく必要があります。
お客様相手のショッピングセンターにおける施策を検討するうえで、顧客目線は非常に重要です。
ショッピングセンターに訪れる顧客目線で客観的に現状をチェックできる方法として覆面調査が注目されています。
覆面調査とは
覆面調査は、ミステリーショッピングやミステリーショッパーとも呼ばれ、匿名の経験豊富な専門調査員が、買い物客となり、実際に買い物をしながら行う調査です。
覆面調査専門サービス企業では、厳しい審査に合格した専門調査員が、評価基準を明確にした客観的で精度の高い調査を行います。
覆面調査によって、従業員の接客サービスや施設のコンディションを客観的に調査することができるため、ショッピングセンターの強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
現状を知って早急に対応する
現在の状況を知って早急に対応することは、競合に負けず、商圏においてショッピングセンターが優位に立つために重要です。
ショッピングセンターが求められる接客やサービスの基準、取り組みは、社会情勢や社会環境によって常に変化しています。
記憶に新しいのが、新型コロナウイルス対策で求められた接客やサービスの基準、取り組みでしょう。また、最近では大型商業施設の閉店もニュースでよく目にするようになりました。
消費者の商品やサービスに対するニーズや、ショッピングセンターに求めるニーズも常に変化しています。
高齢化が進む中で高齢者の居場所的な役割や、子供や子育て世代などの多世代にとって利用価値の高い施設開発がショッピングセンターに必要となっています。
そうした、顧客目線の変化について、ショッピングセンター経営者は明確に知る手段を持ち合わせていないのではないでしょうか。
現在の状況を知って早急に対応するために、まずは、現在の状況を把握する必要があるわけです。
一般的に現在の状況把握手段は、現場からの報告が主となるでしょう。
たとえば、本社部門の社員がショッピングセンターに調査訪問したとしても、あくまで社員の目で見ることになります。
競合に勝つために解決策を検討するためには、顧客目線の現状を知らなければなりません。
覆面調査を実施することで、顧客目線の現状を知ることができます。
顧客第一主義やカスタマーファーストが多くの企業の企業理念やマーケティング戦略に採用されている中、本当の顧客ニーズを取得しないことは大きなマイナスになりかねません。
客観的なデータ取得を積極的に行わず、企業内の人材のみで取得したデータをもとに戦略を立てた場合、顧客が求めているショッピングセンターとは異なる方向に舵を取ってしまう可能性があるでしょう。
そうしたリスクを回避するために、客観的なデータを取得することを目的に覆面調査が採用されています。
従業員のサービスを向上させて競合に打ち勝つ
覆面調査のメリットのひとつに、従業員のサービス向上が見込まれる点があります。
ショッピングセンターの従業員はみな、来店した顧客に対してより良いサービスを提供することを心掛けて業務を実施していますが、サービスが顧客にどのように評価されているかを知る機会はまれです。
顧客の生の声についてほとんど知る機会がないという点は、ショッピングセンターの従業員にとって大きな問題点のひとつといえるでしょう。
覆面調査で、調査員が一般顧客と同じようにショッピングセンターに来店し、手続きや買い物をしながら従業員のサービスをチェックすることで、顧客の生の声についてはほとんど知る機会がない従業員が客観的な評価を知ることができるのです。
客観的な評価をもとに改善をはかることで、従業員のサービスが向上していきます。
まとめ
ショッピングセンターは、商圏内での競争が激化するなか、オンラインショッピングの普及や自動化・テクノロジーの活用、SDGsなど多岐にわたる課題を抱えています。
課題を解決するためには、覆面調査などによる顧客目線の客観的なデータをもとに、いくつかの解決方法を組み合わせて多方面から取り組んでいくことが重要です。
また、継続して現状を調査し、取り組みの効果を確認しながら改善を続けていく必要があります。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。