インバウンド接客の基本~準備することや基本の英語フレーズ
目次
インバウンド接客では、語学力が求められます。
訪日外国人は、日本語を話せない方も多くいるからです。
仮に日本語を話せない訪日外国人に対して、相手に合わせた言葉で接客できなかった場合は、機会損失に繋がってしまいます。
そこで本記事では、インバウンド接客の基本準備や基本フレーズを紹介します。
インバウンド接客の基本的なマインドセット
インバウンド接客において「言葉さえ話せれば問題ない」と考えているのであれば、間違いです。
訪日外国人が感じる不満は「言葉」だけではありません。
多くの訪日外国人は以下のような不満をもっています。
- 「無視された(ように感じた)、声をかけてもらえなかった」
- 「案内表示がわからず、館内や売り場で迷ってしまった」
- 「商品の説明書きが日本語でわからなかった」
- 「購入、注文はできたが、使い方、料理の食べ方が分からなかった」
- 「Wi-Fi が使えなかった」
- 「免税手続き、食券などのシステムがわからなかった」
- 「スタッフと十分にコミュニケーションが取れなかった」
上記のように、言葉だけではない、サービスへの不満のほうが多いのです。
訪日外国人も日本人接客と同じ
訪日外国人だから特別に、語学力をもった接客が必要だと考えているのであれば、誤りといえます。
語学力も必要ではありますが、お客様に感じてもらう体験は、訪日外国人も日本人も変わりません。
たとえば、あなたが海外に行って日本語で対応してくれないからといって不満に感じるケースはないのではないでしょうか。
訪日外国人も同様です。
「こんにちは」の一言から始めて、CS原則を実践すれば、店舗の接遇力アップにつながります。
【CS5】
「身だしなみ+挨拶+表情+話し方+態度、仕草=承認」
国の文化を理解する
言葉以上に気を付けておきたいのが、国の文化です。
日本では当たり前のようにおこなっているジェスチャーでも、訪日外国人にとってはタブーとされるものがあります。
注意すべきジェスチャーについて、以下で解説します。
NGリスクのあるジェスチャー
NGリスクのあるジェスチャーについて、以下の表にまとめました。
ご確認ください。
ジェスチャー | 意味 |
親指を上げるグッドサイン | ・アメリカやヨーロッパでは日本と同様にポジティブな意味
・中東や東南アジア、ヨーロッパの一部などではグッドサインは否定的な意味を持つ |
二本指を立てるピースサイン | ・英語圏ではポジティブなイメージ
・ギリシャでは相手を侮辱する意味 |
裏ピース | イギリスやオーストラリアなどでは自分向きのピースサインは相手を侮辱する意味 |
開いた手を前に出すストップサイン | ・アメリカや西欧諸国では日本と同じ意味
・ギリシャやアフリカなどでは相手を侮辱する意味 |
手のひらを相手に向けて振るバイバイ | ・国によっては相手が「侮辱された」と感じることも
・韓国では犬に対してのジェスチャーとなるためNG |
OKサイン | ・アメリカやイギリスではOKを意味する
・フランスやオーストラリアではゼロという意味や、相手が「侮辱された」と感じることも ・他にも相手を性的に侮辱する意味となる国が多い |
小指を立てる | ・中国、インドネシアでは相手を侮辱する意味となる
・インドでは「怒り」を意味する |
人差し指と小指を立てる | ・仏教ではポジティブな意味
・ヨーロッパでは悪魔を意味 |
手のひらを上にして手招きをする | ・フィリピンでは犬を呼ぶときに使われる
・シンガポールでは死を意味する |
手のひらを下にして手招きをする | ・アメリカやイギリスでは意味が逆転する |
口に手を当てる | 場面によるものの、何かを隠している、相手を拒絶しているというようなネガティブに捉えられることがあります |
顔の前で手を横に振る | 相手が臭いという意味 |
ガッツポーズ | 中東の一部の国やフランスでは相手を侮辱する意味 |
上記のように、日本では当たり前の行動が訪日外国人にはネガティブな意味に捉えられる可能性があるので、注意してください。
接客で使える基本フレーズ
流ちょうに言葉を話せる必要はありませんが、簡単なフレーズは知っておきましょう。
自国の言葉で挨拶してもらえることで、安心感を与えられますので、よく観光客が来る国の挨拶を覚えておくのも良い方法です。
弊社の「インバウンド接客ロールプレイ研修」では、英語や中国語での簡単接客フレーズを学びます。その後、同じく研修内で、ロールプレイで練習し、身につけることができます。
挨拶だけに留まらず、商品のおすすめをし、お客様のニーズを聞き出すことができれば、他店との差別化や売り上げのアップを見込むことができます。
インバウンド接客での満足度向上は、従業員のちょっとした意識を変えるだけで大きな改善が見込める分野であり、従業員の意識を変えるきっかけとして、「研修」は大変効果的です。
インバウンド向けに英語が話せない場合の対策
インバウンド向けに英語が話せないなどの接客対応に不安がある場合は、以下の方法を検討してみましょう。
- 翻訳機の利用
- インバウンド対策研修の実施
上記2つを実施すれば、訪日外国人の接客をスムーズに問題なくおこなえるようになります。
それぞれの特徴について解説しますので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
翻訳機の利用
接客のフレーズをいくつか覚えられたとしても、すべての言葉に対応できるわけではありません。
場合によっては、相手の言葉をまったく理解できないこともあるかと思います。
このようなケースでは、翻訳機を利用しましょう。
特におすすめなのは、ポケトークです。
ポケトークは、日本語から英語だけではなく、英語から日本語への音声翻訳も可能です。
従業員も「自分で対応しなければならない」から「翻訳機を使っても良い」となることで、安心して接客に臨めます。
最近は「リアルタイム翻訳」などの機能が搭載されているスマートフォンもありますので、それらを活用してもよいでしょう。
インバウンド対策研修
インバウンドの接客力向上のために、研修を実施するのも良いでしょう。
インバウンド対策研修では、語学力から文化、接客の基本までを覚えられます。
ロープレ研修も用いて研修をおこなえば、実際の接客もすぐにできるようになります。
多くの従業員は「できない」わけではありません。
ただ、対応したことのない訪日外国人に「接客できるのだろうか?」という不安を抱えています。
研修を実施すれば、ほとんどの従業員が訪日外国人向けに自信をもった接客をおこなえるようになります。
インバウンド対策研修の言語に関する感想
実際にインバウンド対策研修をおこなった事例を紹介します。
とくに、言語についての不安・悩みについては、以下のような感想がみられました。
- 先ずはお客様とコミュニケーションを取りたいという気持ちが大切だと理解できた
- 言葉はスムーズに話せなくても、非言語コミュニケーションで何とかなることも多いと改めて感じた
- スタッフとコニュミケーションを取りたがっているお客様も多いというインバウンドの方のマインドを知ることができてよかった
- 言葉が分からなくてもハートが近づき楽しい体験となっていただければ、旅行者でも再来店や顧客化できる可能性がある
- 言語が分からなくてもリアクションやおもてなしの心があれば通じると感じた
- 海外の方はお待たせしてしまう事に困惑しないとお聞きしたので、もっと丁寧に気持ちのよい対応を最後まで心掛けていきたい
- 文化が違っても、おもてなしの心で接することでコミュニケーションは図れる
- 完璧に英語や中国語をマスターしていなくとも、海外の方は分かってくれる
上記のように、自分たちの接客に対して自信をもち、言葉に対する不安がなくなっていることがわかります。
「訪日外国人が多く来店されたらどうしよう」と悩みを抱える従業員が多いのであれば、研修を導入してみてください。
まとめ
インバウンドの接客は、単に言語を覚えればよいわけではありません。
各国の文化やマナーの違いはもちろん、「訪日外国人が日本の店舗に何を求めているか?」を理解した上で接客をおこなう必要があります。
外国人への接客に慣れていないことから焦りや不安を感じる従業員もいますが、基本的な接客の軸は、日本人への対応と変わりません。
日本人のおもてなしの心をもって接すれば、外国人にもサービスの質は伝わります。
ただし、多くの従業員は訪日外国人への接客に不安を感じてしまいやすいので、心構えをするためにも、研修などをおこなっておくとよいでしょう。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。