効果的な複合商業施設(ショッピングセンター)覆面調査活用方法とは? 調査結果を120%活かす方法
目次
複合商業施設(ショッピングセンター)は、若者、子育て世代のファミリー層、高齢世代までが集まる、地域の人気スポットになっています。
ショッピングセンターは、必要なアイテムが施設内で探せるため、多世代のニーズを満たす集客力の高い施設です。
そのため、都市部や郊外などさまざまな場所に建設され、近年各商業施設間の競争が激化しています。
ショッピングセンター運営者は、消費者に選ばれるショッピングセンターにするため、継続的な改善を求められています。
サービス品質向上、施設コンディション改善などによる顧客満足度アップを図るためのひとつの手法として、覆面調査があります。
覆面調査は施設の実態を顧客目線で客観的に評価し、改善点を見つけるための重要な手法として注目されています。
そこで今回は、覆面調査を効果的に活用し、その調査結果を120%活かす方法を解説します。
この記事を見ることで、ショッピングセンター運営者は、競合との差別化をはかり、より集客力のあるショッピングセンターづくりのヒントを得られるはずです。
ショッピングセンター覆面調査とは
覆面調査は、匿名の経験豊富な専門調査員が、ショッピングセンターの買い物客として来店し、実際に買い物をしながら行う調査です。
覆面調査専門サービス企業では、厳しい審査に合格した専門調査員が、評価基準を明確にした客観的で精度の高い調査を行います。
覆面調査では、ショッピングセンターのサービス品質や施設・各テナントのコンディションを客観的に調査します。
そのため、競合との差別化となるショッピングセンターの強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
調査結果は、覆面調査専門サービス企業から、数値化・可視化された、比較・分析可能な報告書として提出されます。
また、数値では表すことができない買い物客の本音の部分も、調査員のコメントを見ることで知ることが可能です。
さらに、調査結果の分析、問題点の抽出、改善提案や、覆面調査専門サービス企業が豊富な調査実績で培った知見を活かし、より集客力を高める顧客満足度向上のための具体的な提言・アドバイス受けることもできます。
プロフェッショナルな専門サービス企業を選び、ショッピングセンターに合った覆面調査を的確に実施し、調査結果を効果的に活用することで、より消費者に選ばれるショッピングセンターに改善していくことが可能です。
効果的なショッピングセンター覆面調査活用方法
ショッピングセンターで覆面調査を活用する場合、プロフェッショナルな専門サービス企業を選別することが重要です。
プロフェッショナルな専門サービス企業とともに計画的に調査を実施して改善を継続することで効果が生まれます。
覆面調査を上手く活用することで、ショッピングセンターは競合との差別化をはかることができます。
この章では、ショッピングセンター担当者が効果的に覆面調査を活用する方法を紹介します。
覆面調査会社と綿密にヒアリングする
ショッピングセンター担当者は施設についての情報を多く保有していますが、覆面調査については専門家ではありません。
そのため、覆面調査のプロであるプロフェッショナルな専門サービス企業の担当者から綿密なヒアリングを受けることが大切です。
覆面調査会社のプロフェッショナルな担当者は、専門的な知識と経験を活かし、覆面調査の目的や、ショッピングセンターの状況を聞き出してまとめます。
ショッピングセンター担当者は、ショッピングセンター特有の課題や施設の特徴、店舗数、商圏、調査に最適な時間帯などを覆面調査会社の担当者に十分に伝えます。
顧客目線を意識した調査項目の選定
ヒアリングで覆面調査会社と相互に情報共有した内容をもとに、顧客目線を意識した調査内容を具体的に選定します。
施設の清潔度、商品陳列、使いやすさ、従業員のサービスなど、重要な側面を網羅的に評価します。
たとえば以下の調査内容があります。
売り場づくり
- ショッピングセンターに入りたくなる仕組みはあったか
- 利用者にとって魅力的なレイアウトになっているか
- 商品は見やすいか
- 商品は取りやすいか
- 商品は運びやすいか
- 商品陳列状況に目立つ乱れがなかったか
- 価格は分かりやすいか
- 通路は最適で買いまわりしやすいか
- 季節感のある施設になっているか
ホスピタリティー
- すれ違い挨拶の有無
- すれ違い挨拶の声の大きさ
- すれ違い挨拶時のアイコンタクト
- すれ違い挨拶時の笑顔
- 従業員の身だしなみに清潔感はあるか
- 名札の名前は読み取りやすいか
- 従業員同士で業務以外の私語や雑談をしていなかったか
- 作業に没頭している・お客の前を横切る・見たい場所をふさぐといった阻害行為をしている従業員はいなかったか
接客スキル
- 商品を見ているとスタッフからアプローチがあったか
- アプローチがあった場合その言葉は興味や関心を引くものであったか
- アプローチがあった場合その際にアイコンタクトや笑顔があったか
- 商品の質問をすると商品の前まで誘導案内したか
- 説明や提案は分かりやすかったか
- ニーズに合わせた商品を具体的に提案したか
- 説明やお薦めは笑顔で行ったか
- 対応した従業員の印象はどうだったか
レジ・チェッカー
- 商品を持ちレジに向かうとすぐに気付き商品をお預かりする姿勢は見られたか
- 商品の金額お預かりする金額の読上げはあったか
- 商品を丁寧に取り扱ったか
- 「ありがとうございます」とあいさつはあったか
施設環境
- ショッピングセンター内の床に目立つごみや汚れはなかったか
- 清潔感や雰囲気に問題はないか
- 商品自体の汚れ・破損はなかったか
- 照明・明るさは十分か
- レジまわりは整理整頓されていたか
- 心地いい魅力的なパブリックスペースを備えているか
- 駐車場利用はスムーズだったか
- 交通アクセスの利便性に問題はないか
- 案内表示は見やすかったか
バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進
- キッズトイレはあるか・使いやすいか
- 優先トイレはあるか・使いやすいか
- ベビールームはあるか・使いやすいか
- フードコート内キッズコーナーはあるか・利用しやすいか
- 多言語サインはあるか・わかりやすいか
- 分かりやすいインフォメーションか
- エスカレーターのぼり方向の認識はあるか
- 障がい者等用駐車区画はあるか・使いやすいか
調査結果を有効に活かす方法
覆面調査では調査員が一般顧客と同じようにショッピングセンターに来店し、手続きや買い物をしながら、ショッピングセンター担当者とヒアリングして設計していった調査内容を盛り込んだ調査手順書の項目・基準に沿って調査します。
そのため、顧客の生の声についてはほとんど知る機会がないショッピングセンターの現状を把握し課題や問題点を洗い出すことができます。
調査会社は、調査員の調査データを数値化・可視化した調査結果を比較・分析可能な報告書としてフィードバックしてきます。
フィードバックの内容をもとに取組を実施することで、より消費者に選ばれるショッピングセンターに向けて改善していくことが可能です。
また、覆面調査は継続することでより効果が高まります。
1回目の調査で改善項目となった点を改善していき、2回目の調査で改善度合いを確認していくといったサポートを継続するとよいでしょう。
施設の改善に活かす
覆面調査を実施することで、施設の具体的な問題点を発見できます。
問題点が明確になることで、どこに改善の余地があるのかわかるので、改善策を立てやすく、確かな効果が期待できます。
たとえば、人の流れやフロアデザインの使いやすさを調査項目にしておけば、実際に調査員が施設内を歩いてチェックした調査結果をフロアプランやデザインの改善に活かし、効果的な店内の配置を検討することができます。
サービスや顧客満足度向上のチェック手段として活用する
サービスや顧客満足度向上の取組を実施しているショッピングセンターは多いと思います。
覆面調査は、サービスや顧客満足度向上のPDCAサイクルにおいて、客観的なチェック手段として機能し、より効果的な改善策へつなげることができます。
また、高い評価を得た項目は、水平展開することによって、施設全社のサービス向上や顧客満足度向上に役立ちます。
マーケティングに活用する
ショッピングセンターはとても広い施設であり、施設内のテナントはファッション、食料品、飲食、化粧品、雑貨、アクセサリー、家電、保険など多岐にわたります。
また、エリアによってテーマを決め、異なるイメージで戦略を立てているケースもあります。
流行りのブランド中心のエリア、子供・ファミリー向けのエリア、趣味のエリア、パブリックスペースなど、ショッピングセンターごとに趣向を凝らしているところであり、競合との差別化をはかる強みや消費者へのアピールポイントになっています。
覆面調査を実施すれば、各エリア、あるいはテナントごとの調査結果を比較できます。
そのため、指導・改善にかける時間とコストを、相対的に評価が低かったエリアやテナントに重点的に投下できます。
ムダを最小限に抑え、効果的に顧客に価値を与えるためのマーケティング戦略を練ることができるわけです。
また、継続的な調査をしていけば、効果的なエリア戦略を続けることができ、普段から従業員にも適度な緊張感が生まれ、サービスに対する高い意識を持たせることができるようになります。
これにより、集客力のある魅力的なエリアづくりが継続でき、従業員の接客レベルやモチベーションが向上することで、顧客満足度アップにつながっていきます。
その結果、定客が増え、来店頻度が高まるというマーケティング効果が期待でき重要な競合店対策になります。
従業員のモチベーションアップに活用する
覆面調査の調査結果は、社内の評価ではなく、調査員による社外の評価です。
覆面調査で、調査員が一般顧客と同じようにショッピングセンターに来店し、手続きや買い物をしながら従業員のサービスをチェックすることで、顧客の生の声についてはほとんど知る機会がない従業員が客観的な評価を知ることができます。
客観的な評価をもとに改善をはかることで、従業員のサービスが向上していきます。
第三者による客観的な調査は、公平な人事評価を生み、従業員の満足につながります。
また、覆面調査では、良い点も正しく評価され、従業員のモチベーションアップにつながります。
まとめ
ショッピングセンターは、地域の人気スポットとして多世代にわたる人気のスポットになっています。
一方で、競合との競争が激化し、ショッピングセンター運営者は、集客力を高めるために他のショッピングセンターとの差別化をはかる必要があります。
覆面調査を効果的に活用し、その調査結果を有効に活かすことで、競合との差別化をはかり、より集客力のあるショッピングセンターに改善していくことができます。
ショッピングセンターの現状を顧客目線で客観的に評価し、改善点を見つけるための重要な手法として覆面調査を検討してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。