複合商業施設(ショッピングセンター)覆面調査の実態とは ?
目次
ショッピングセンターは都市部や郊外などさまざまな場所で、消費者ニーズに合った商品やサービスを販売する店舗が集まる複合商業施設として浸透しています。
また、消費者が日常的に利用する人気の施設となっているため、商業施設間の競合は激しさを増しています。
そのため、ショッピングセンター運営者は、商業施設の利用者を増やすために、サービス品質向上、施設コンディション改善などによる顧客満足度アップを図るためにさまざまな取り組みを検討しています。
その中でも、覆面調査は施設の実態を顧客目線で客観的に評価し、改善点を見つけるための重要な手法として注目されています。
そこで今回は、ショッピングセンターならではの課題と覆面調査の目的を踏まえ、ショッピングセンター覆面調査の実態を解説します。
複合商業施設(ショッピングセンター)の現状
一般社団法人日本ショッピングセンター協会のデータによると、2022年末現在のショッピングセンター総数は3,133施設、1ショッピングセンター当たりのテナント数は53店舗となっています。
また、2022年には全国で36のショッピングセンターがオープンしています。
オープンしたショッピングセンターを店舗面積別にみると5,000㎡未満の小型ショッピングセンターは3店舗のみで、大型ショッピングセンターのオープンが多くなっており、店舗面積30,000㎡以上の店舗が5店舗オープンしています。
オープンしたショッピングセンターを都道府県別でみると、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県、福岡県など大都市圏への出店が多く、さらに大都市圏の中でも周辺地域が多いのが最近の傾向です。
オープンしたショッピングセンターのテナント数の割合は、衣料品が15.0%、食物販12.7%、その他物販31.3%、飲食19.0%、サービス22.1%となっています。
また、高齢化が進む中で高齢者の居場所的な役割や、子供や子育て世代などの多世代にとって利用価値の高い施設開発がショッピングセンターに必要となっています。
複合商業施設(ショッピングセンター)の課題
ショッピングセンター運営の課題として以下の3点があげられます。
施設の差別化や品質向上
ショッピングセンターは、小売業の売上全体において高い売上高を占めてきている一方で、商圏内での競合が増加傾向にあり、施設の差別化や品質向上が大きな課題となっています。
個性的な飲食店や話題性のある流行りのブランドを獲得できているか、心地よい魅力的なパブリックスペースを備えているかも集客に大きな影響を及ぼします。
利用者にとって魅力的な場所にテナントを配置
ショッピングセンターは、ファッション、食料品、飲食、化粧品、雑貨、アクセサリー、家電、保険など多岐にわたるテナントで構成されています。
ショッピングセンター運営を成功させるためには、集客力のあるテナントを獲得し、更新していくと同時に、利用者にとって魅力的な場所にテナントを配置しなければなりません。
ショッピングセンターは大型化しており、最適なレイアウトは容易ではありません。
バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進
ショッピングセンターは、消費生活を支えると同時に、地域の交流や憩いの場となっています。
多くの人々が利用する施設として、バリアフリー・ユニバーサルデザインが求められています。
ショッピングセンターでの具体的な取り組みとして以下の事例があげられます。
- キッズトイレ
- 優先トイレ
- ベビールーム
- フードコート内キッズコーナー
- 多言語サイン
- 分かりやすいインフォメーション
- エスカレーターのぼり方向の認識
- 障がい者登録者専用駐車場
覆面調査によって施設の現状把握ができ、利用者にとって魅力的なレイアウトになっているか、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進状況などが顧客目線で客観的に調査できます。
複合商業施設(ショッピングセンター)覆面調査の目的
覆面調査は、ミステリーショッピングやミステリーショッパーとも呼ばれ、匿名の経験豊富な専門調査員が、買い物客となり、実際に買い物をしながら行う調査です。
覆面調査専門サービス企業では、厳しい審査に合格した専門調査員が、評価基準を明確にした客観的で精度の高い調査を行います。
覆面調査によって、従業員のサービスや施設のレイアウト、店舗のコンディションを客観的に調査することができるため、ショッピングセンターの強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
覆面調査専門サービス企業では、調査結果を数値化・可視化し、比較・分析可能な報告書として提出します。
また、数値では表すことができないショッピングセンター利用者の本音の部分も、調査員のコメントを見ることで知ることが可能です。
さらに、調査結果の分析、問題点の抽出、改善提案や、覆面調査専門サービス企業が豊富な調査実績で培った知見を活かし、顧客満足度向上のための具体的な提言・アドバイス受けることもできます。
覆面調査をプロフェッショナルな専門サービス企業を活用して的確に実施し、調査結果を効果的に活用することで、依頼主であるショッピングセンター運営者は、着実に顧客満足度を向上させることができます。
複合商業施設(ショッピングセンター)覆面調査の実態
ショッピングセンターは、共用エリアをはじめ、小売業エリア、飲食エリアなどさまざまなエリアで構成されていますので、各エリアの状況や調査の目的は異なります。
一方で、依頼主であるショッピングセンター運営者や企業担当者の多くは、覆面調査について専門家ではありません。
そこで、覆面調査会社のプロフェッショナルな担当者によるヒアリングが行われます。
覆面調査会社のプロフェッショナルな担当者は、専門的な知識と経験を活かして、依頼主であるショッピングセンター運営者や企業担当者から、覆面調査の目的や、各エリアや店舗の状況を聞き出してまとめていきます。
ショッピングセンター覆面調査は、ヒアリングによって得られた、覆面調査の目的や、各エリアの状況、店舗数、商圏、調査に最適な時間帯などをもとに、具体的な調査内容設計を行い実施されています。
覆面調査の内容
具体的には以下の項目の覆面調査が行われています。
売り場づくり
- ショッピングセンターに入りたくなる仕組みはあったか
- 商品は見やすいか
- 商品は取りやすいか
- 商品は運びやすいか
- 商品陳列状況に目立つ乱れがなかったか
- 価格は分かりやすいか
- 売場通路は保たれ買いまわりしやすいか
- 季節感のある売場になっているか
ホスピタリティー
- すれ違いあいさつの有無
- すれ違い声の大きさ
- すれ違いアイコンタクト
- すれ違い笑顔
- 従業員の身だしなみに清潔感はあるか
- 名札の名前は読み取りやすいか
- 従業員同士で業務以外の私語や雑談をしていなかったか
- 作業に没頭している・お客の前を横切る・見たい場所をふさぐといった阻害行為をしている従業員はいなかったか
接客スキル
- 商品を見ているとスタッフからアプローチがあったか
- アプローチがあった場合、その言葉は興味や関心を引くものであったか
- アプローチがあった場合、その際にアイコンタクトや笑顔があったか
- 商品の質問をすると商品の前まで誘導案内したか
- 説明や提案は分かりやすかったか
- ニーズに合わせた商品を具体的に提案したか
- 説明やおすすめは笑顔で行ったか
- 対応した従業員の印象はどうだったか
レジ・チェッカー
- 商品を持ちレジに向かうとすぐに気付き商品をお預かりする姿勢は見られたか
- 商品の金額お預かりする金額の読上げはあったか
- 商品を丁寧に取り扱ったか
- 「ありがとうございます」とあいさつはあったか
施設環境
- ショッピングセンター内の床に目立つごみや汚れはなかったか
- 清潔感や雰囲気に問題はないか
- 商品自体の汚れ・破損はなかったか
- 照明・明るさは十分か
- レジまわりは整理整頓されていたか
- 駐車場利用はスムーズだったか
- 交通アクセスの利便性に問題はないか
- 案内表示は見やすかったか
覆面調査による現状把握
覆面調査では調査員が一般顧客と同じようにショッピングセンターに来店し、手続きや買い物をしながら決められた調査手順書の項目・基準に沿って調査内容をチェックします。
そのため、顧客の生の声についてはほとんど知る機会がないショッピングセンターの現状把握をすることができます。
調査員の調査データをもとに調査会社は、調査結果を数値化・可視化します。
フィードバック
調査会社は、数値化・可視化された調査結果を比較・分析可能な報告書として依頼主であるショッピングセンター運営者にフィードバックします。
各店舗には、必要に応じてフィードバックをしていきます。
改善・サポート
フィードバックの内容をもとに改善を実施していきます。覆面調査は継続することでより効果が高まります。
1回目の調査で改善項目となった点を改善していき、2回目の調査で改善度合いを確認していくといったサポートを継続するとよいでしょう。
プロフェッショナルな覆面調査会社の中には、調査結果の分析、問題点の抽出、改善提案、研修などを行う改善・サポートを提案している会社もあります。
調査会社は、豊富な調査実績で培った知見を活かし、顧客満足度向上のための具体的な提言・アドバイスを行います。
まとめ
ショッピングセンターは、数多くの商品やサービスを販売する店舗が集まる複合商業施設として、消費者が日常的に利用する人気の施設となっています。
そのため、商圏内で競合が増しており、施設の差別化や品質向上が大きな課題となっています。
また、利用者にとって魅力的な場所にテナントを配置するレイアウトやバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進も必要です。
覆面調査によって、サービス品質や施設のレイアウト、店舗のコンディションを客観的に調査することができるため、ショッピングセンターの強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握できます。
施設の実態を顧客目線で客観的に評価し、改善点を見つけるための重要な手法として覆面調査を検討してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。