チーム力が向上する「褒め方」「叱り方」のポイントをご紹介

コラム

リーダーは、評価や指導を通じてメンバーの成長やチーム力の向上を進める立場にあります。メンバーの行動や結果を褒めたり叱ったりすることが必要でしょう。チーム力が伸び悩んでいる場合には、メンバーに対する「褒め方」「叱り方」を見直してみるとよいかもしれません。

この記事では、チーム力を向上させるためにリーダーが押さえておくべき「褒め方」「叱り方」のポイントを詳しく解説します。

 

 

チーム力が伸びない原因は「褒め方」「叱り方」にある?

 

メンバーのモチベーションが上がらない、チーム内の連携が取れていないなど、なかなかチーム力が伸びない原因はリーダーの「褒め方」「叱り方」にあるかもしれません。そもそも「褒める」「叱る」とはどういう行動を指すのでしょうか。

 

 

「褒める」とは

「褒める」とは、相手の良い言動に着目し評価することです。相手のどのような行動が良かったのかフィードバックすることで、褒められた側は自分の良い点を認識して自己肯定感が高まり、モチベーションやパフォーマンスの向上につながります。チーム全体に「褒める」文化が根付いていれば、互いに良い点を認め合うことでチーム内の連携や信頼関係が強化され、チームとしても高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。

 

「叱る」とは

「叱る」とは、相手の言動の良くない点を指摘することです。相手のどのような行動が良くなかったのか指摘し、どうやって改善していくかアドバイスすることで、相手をより良い方向へ導く目的があります。時には強い口調になることもありますが、あくまで相手の改善点について客観的に指摘や助言を行うことが「叱る」であり、適切な叱り方によって個人やチームの成長を促すことができます。

 

「褒める」と「叱る」の共通点

「褒める」も「叱る」も、相手の言動に対してフィードバックすることを意味します。感情的にならず、事実(良い行動や改善すべき行動)をもとに具体的な評価や指摘を行うことで、相手のさらなる成長を促していくものです。相手の言動を見ずに褒める行為は単なるご機嫌取りになりかねませんし、自分の感情任せに叱りつけるような行為は相手を萎縮させてしまうだけです。「褒める」「叱る」とは自分の感情を表現する行為ではなく、相手に何かを伝えて行動変容を促す行為といえるでしょう。

 

 

チームを成長させる「褒め方」のポイント

チーム力を向上させるためにはどのような褒め方を心がければよいのでしょうか。
褒められて嫌な気持ちになる人はいませんが、個々のモチベーションやチームのパフォーマンスを高めるには「適切な褒め方」を実践する必要があります。

ここではチームの成長につながる「褒め方」のポイントを紹介します。

 

その場ですぐに褒める

メンバーの良い行動に気づいたら、時間をあけずにその場ですぐに褒めましょう。良い行動の直後に褒めることで、どのような行動を評価されているのか認識しやすく、褒められたことが記憶に残りやすくなります。

時間が経ってから「あの行動が良かった」と伝えても、相手がそれを覚えているとは限りません。相手の良かった点を的確に伝えるために、行動に対するフィードバックは「なるべく早く」を意識しましょう。

 

結果を出した経緯も褒める

メンバーが優れた結果を出した場合、その結果だけでなくプロセスもあわせて褒めることが大切です。リーダーが結果だけを褒め続けると、「結果さえ出せばいい」「結果を出さなければ評価されない」という認識がチーム内に広がってしまいます。そうなると、結果を出すまでのプロセスを軽視し、真剣に向き合わず手を抜いてしまうメンバーが出てくるかもしれません。どのような行動が結果につながったのか、そのプロセスにもしっかりと目を配り、結果と経緯の両方を褒めるようにしましょう。

 

アイメッセージで褒める

アイメッセージとは「私」を主語にして伝える手法です。たとえばメンバーの積極的な行動を褒めたいとき、「(私は)積極的に動けていると思ったよ」というように、相手の行動に対して自分がどう感じたかをフィードバックします。

「あなた」を主語にするユーメッセージと比べると、アイメッセージのほうがやわらかい表現になり、相手を尊重しながら自分の感想を伝えることができます。あくまで「私」の感想として伝えるため、相手も「そういうふうに評価されているのか」と違和感なく受け入れられるでしょう。

 

具体的に褒める

メンバーの良い行動はなるべく具体的に褒めるのがポイントです。たとえば「この前のプレゼンは良かったよ」と伝えても、具体的にどのようなところを評価しているのかわかりません。「前回よりもハキハキと話していてわかりやすかったよ」「身振り手振りも交えて聞き手の興味を引き付けるプレゼンになっていたよ」など、良かった点を明確に伝えることを意識しましょう。

 

質問しながら褒める

褒め言葉に対する受け入れ方は人それぞれであり、すんなりと受け入れられるメンバーもいれば、素直に受け入れられないメンバーもいます。褒められることに慣れておらず、謙遜しがちなメンバーに対しては、質問を投げかけながら自然な形で褒める方法が効果的です。

たとえば「この難しい目標をどうやって達成したの?」「このわかりやすい資料を作るためにどんな工夫をしているの?」など、会話のなかで質問しながら褒めることで、相手も抵抗なく受け入れられるようになります。

 

 

チームを成長させる「叱り方」のポイント

 

チーム力を向上させるためには叱ることが必要になるシーンもあります。

「褒める」と比べるとネガティブな印象を持たれやすい行為ですが、「叱る」と「怒る」は意味合いが異なります。「叱る」には相手に何かを伝えるという語義を含んでおり、今後の成長につなげたいという目的があります。

ここではチームの成長につながる「叱り方」のポイントを紹介します。

 

相手の話に耳を傾ける

叱るときに心がけるべきは「相手の話に耳を傾ける」ことです。相手の話を聞かずに頭ごなしに叱りつけるのではなく、その言動の経緯や考えをしっかりと聞き取ったうえで、何を改善すべきか明確に伝えることが大切です。

先述したように、自分の感情任せに声を荒げる行為は「叱る」ではなく「怒る」であり、相手を萎縮させてチームの雰囲気を悪くします。まずは相手の話を否定せずに受け止め、そのうえで必要な助言を行うことを心がけましょう。

 

叱る場所を考慮する

褒めるときは「その場ですぐに」が適切なタイミングですが、叱るときは場所を考慮する必要があります。指摘すべき行動があっても、周りに他のメンバーがいるときには口にせず、個室などで1対1になってから伝えるようにしましょう。人前で叱ることは相手の自尊心を傷つけ、仕事に対するモチベーションが低下したり自分自身を否定的に捉えるようになったりとネガティブな影響を及ぼします。

 

事実ベースで話す

褒めるときと同様に、叱るときも確かな事実をもとに話すのが基本です。改善すべき点が見つかっても、本人に事実を確認するまで叱るべきではありません。リーダーから見て「良くない行動」であっても、それがリーダーの勘違いや思い込みによるものかもしれないからです。まずは相手の行動に対して事実確認を行い、確かな事実と改善の必要性が明らかになってから指導や助言を行うよう心がけましょう。

 

具体的な改善策を伝える

良くない行動を指摘するだけではメンバーの成長を促すことはできません。その行動を改善するために何をすべきか、相手にとってほしい行動までしっかりと伝えることが大切です。

このとき、抽象的な表現では互いに認識の齟齬(そご)が起きてしまう可能性があります。「なるべく早めに」ではなく「○月○日までに」「○日前までに」と伝えるなど、数字を用いて具体的に表現するのが望ましいでしょう。

 

今後の期待を伝える

ここまでのポイントを実践しても、叱られた相手は少なからず気持ちが落ち込んでしまうものです。改善点の指摘や助言だけで終わるのではなく、「このような仕事も任せたい」「あなたにはこうなってほしい」というように、今後の期待もあわせて伝えるようにしましょう。

また、叱るときは「褒める→叱る→褒める」の順番で話をする「サンドイッチ話法」も有効です。最後に「褒める」で締めくくると、指摘された側は必要以上に落ち込むことなく、自分が改善すべき点を前向きに捉えられるようになります。

 

 

間違った「褒め方」「叱り方」がハラスメントの要因に

リーダーが「褒め方」や「叱り方」を間違えてしまうと、セクハラやパワハラといったハラスメントの要因にもなりかねません。本人にとっては「ただ褒めただけ」「ただ指導しただけ」であっても、自覚のない言動がハラスメントとみなされる可能性があるのです。

 

特に「叱り方」に関しては、その言動が、業務上必要かどうかがポイントとなります。自分の感情だけで怒鳴りつけるような行為は「叱る」ではなく、相手の就業環境を害する「パワハラ行為」と判断されてもおかしくありません。

 

「褒める」も「叱る」も事実ベースで行うフィードバックであり、メンバーのさらなる成長を促すものです。チーム力を向上させるためには、評価や指導を行う立場にあるリーダーが適切な「褒め方」「叱り方」を身につけることが大切です。

 

 

まとめ

リーダーの「褒め方」「叱り方」は、メンバー個人のモチベーションに大きく影響し、チーム全体のパフォーマンスをも左右するものです。自分の感情を表現するのではなく、相手をより良い方向に導くのが「褒める」「叱る」の正しい使い方です。この記事を参考に適切な「褒め方」「叱り方」を身につけ、チーム力のさらなる向上につなげていきましょう。

 

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エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部

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