ホテルや旅館の集客に覆面調査を活用!効果や実施方法、活用ポイントを解説
ホテルや旅館の集客では、いかに選ばれる施設になるかが大きな課題です。
インターネット上のSNSなどの情報があふれる中で、うまく販売促進を行っても、従業員の応対や施設管理の品質が高くなければ、市場で選ばれ続けることは困難でしょう。
ホテルや旅館は高いサービスレベルを求められる業種です。そのため、従業員や施設の品質を高めるためには、ユーザー目線での現状把握や改善取組みが重要となります。
ユーザー目線のデータを集める調査には、アンケートやインタビューといった方法がありますが、知りたい内容を詳細に調査分析する方法として、覆面調査があります。
今回は覆面調査に注目し、その概要とホテルや旅館の集客においての活用方法を解説します。
覆面調査(ミステリーショッピング)とは?
覆面調査は、ミステリーショッピングやミステリーショッパーとも呼ばれ、匿名の経験豊富な専門調査員がユーザーとなり、実際にホテルや旅館を利用しながら行う調査です。
覆面調査専門サービス企業では、厳しい審査に合格した専門調査員が、評価基準を明確にした客観的で精度の高い調査を行います。
覆面調査の調査内容は、ホテルや旅館の接客サービスやコンディションがメインです。
覆面調査専門サービス企業では、調査結果を数値化・可視化し、比較・分析可能な報告書として提出します。
また、数値では表しにくいユーザーの本音も、調査員のコメントから知ることが可能です。
さらに、調査結果の分析、問題点の抽出、改善提案などを、豊富な調査実績を持つ覆面調査専門サービス会社から受けることができます。
覆面調査をプロフェッショナルな専門サービス企業を活用して的確に実施し、調査結果を効果的に活用することで、依頼主である企業や施設は、着実に顧客満足度をアップすることができます。
ホテルや旅館における覆面調査方法
覆面調査は、専門の調査会社に依頼しますが、この章では一般的な覆面調査の簡単な流れと覆面調査員がチェックするポイントを解説します。
覆面調査の簡単な流れ
覆面調査を実施する各ホテル・旅館の状況や調査目的は異なります。
依頼主である経営者や担当者の多くは、覆面調査について専門家ではありませんので、まずは覆面調査会社のプロフェッショナルな担当者によるヒアリングが重要となります。
覆面調査会社の担当者は、専門的な知識と経験を活かして、依頼主である経営者や担当者から、覆面調査の目的や現在の状況を聞き出してまとめていきます。
また、覆面調査を実施していくために必要な、施設数、商圏、調査に最適な時期や時間帯などもヒアリングしていきます。
ヒアリングによって得られた、覆面調査の目的や、各ホテル・旅館の状況、施設数、商圏、調査に最適な時間帯などをもとに、具体的な調査設計を行います。
プロフェッショナルな覆面調査会社であれば、接客サービスや施設コンディションのほか、調査目的に合わせてカスタマイズが可能です。
覆面調査員がチェックするポイント
覆面調査では調査員が一般顧客と同じようにホテルや旅館にチェックインし、宿泊や買い物をしながら従業員や施設の様子をあらかじめ決められた調査手順書の項目・基準に沿って調査内容をチェックします。
覆面調査員がチェックするポイントの例として以下の項目などがあります。
施設づくり
•施設に入りやすい仕組みはあったか
•施設は見つけやすいか
•エントランスは見つけやすいか
•荷物は運び入れやすいか
•施設に入った時に目立つ乱れがなかったか
•通路は保たれていたか
•季節感のある演出などはあったか
ホスピタリティー
•擦れ違いあいさつの有無
•擦れ違い声の大きさ
•擦れ違いアイコンタクト
•すれ違い笑顔
•従業員の身だしなみに清潔感はあるか
•名札の名前は読み取りやすいか
•従業員同士で業務以外の私語や雑談をしていなかったか
•作業に没頭している・お客の前を横切るといった阻害行為をしている従業員はいなかったか
接客スキル
•施設に入った時にスタッフからアプローチがあったか
•アプローチがあった場合その言葉は興味や関心を引くものであったか
•アプローチがあった場合その際にアイコンタクトや笑顔があったか
•質問に対しての誘導案内したか
•説明や提案は分かりやすかったか
•ニーズに合わせたサービスを具体的に提案したか
•説明やお薦めは笑顔で行ったか
•対応した従業員の印象はどうだったか
ロビー
•ロビーに向かうとすぐに気付き対応する姿勢は見られたか
•宿泊代金などをお預かりする際に金額の読上げはあったか
•ルームキーなどの受け渡しを丁寧に取り扱ったか
•「ありがとうございます」とあいさつはあったか
ベストウェルカム
•施設の床に目立つごみや汚れはなかったか
•施設の汚れ・破損はなかったか
•照明・明るさは十分か
•施設内は整理整頓されていたか
ホテル・旅館での覆面調査でわかること
ホテル・旅館での覆面調査でわかることは以下の3点です。
ユーザー目線でのサービス内容や清掃状態の問題点
ホテル・旅館の経営サイドの立場で考えると、顧客からクレームが入った場合を除く通常業務での現状把握手段は、現場からの報告が主となるでしょう。
たとえば、本社部門の社員が施設調査に訪問したとしても、あくまで社員の目で見ることになります。その点、覆面調査では知りたい項目をユーザー目線で詳細に調査できますので、サービス内容や清掃状態の問題点を明確に把握できますし、社内や業界の常識にとらわれた観点ではなく、生の利用者の声としてデータを集めることができます。
ホテル・旅館の評価や強み
覆面調査によって、従業員の接客サービスや施設のコンディションを客観的に調査することができるため、ユーザー目線の評価や強みを発見することができます。
また、覆面調査専門サービス企業を利用することで、業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能なケースもあります。
客観的な従業員の評価
覆面調査の調査結果は、社内の評価ではなく、調査員による社外の評価です。
つまり、従業員を客観的に評価することができるわけです。
第三者による客観的な調査は、公平な人事評価を生み、従業員の満足につながります。
調査結果をホテル・旅館の集客に活用する方法
覆面調査の調査結果は、ユーザー目線のデータであるため、集客に活用することができます。この章では、覆面調査の結果をホテル・旅館の集客に活用する具体的な方法を解説します。
問題点・課題の改善
覆面調査の結果は数値化・可視化されて企業や店舗に提出されますので、ホテル・旅館の問題点・課題が明確になります。
具体的な接客サービス、施設の清潔感・外観・印象・清掃状態・整理整頓度合いなどの問題点・課題が数値化されることで、効率的な改善ができます。
強みを活かしたサービスやキャンペーンの実施
顧客第一主義やカスタマーファーストが多くの企業の企業理念やマーケティング戦略に採用されている中、本当のユーザーニーズを取得できななければ大きなマイナスになりかねません。
客観的なデータの取得を積極的に行わず、企業内の人材のみで取得したデータをもとに戦略をたてた場合、市場とズレた取り組みを知らずに推し進めている可能性があります。
そうしたリスクを回避するためにも、客観的なデータを取得することを目的に覆面調査が採用されています。
ホテル・旅館業界は特にユーザー目線の強みを活かす必要性が高い業界のひとつです。
覆面調査で把握した強みを活かしたキャンペーンを実施することで集客効果を上げることができるでしょう。
従業員のモチベーション向上
従業員やチームのサービスに対する基準は、ユーザー目線のデータがなければ、自分たちの頭の中で考えていくしか方法はありません。
覆面調査を行うことでユーザーが本当に求めているサービスと現状とのギャップを知ることができます。
従業員やチームにとっては、サービス改善のために何をすべきかという目標が明確になり、その目標に向かって共通の意識で取り組むことで、従業員一人ひとりとチーム力が高まります。
また、継続的な調査により、普段から従業員に適度な緊張感が生まれ、接客に対する高い意識を持たせることができます。
さらに、覆面調査では、従業員の良い点も正しく評価されるため、従業員のモチベーションアップにつながります。
また、覆面調査員の客観的な調査によって、ユーザー目線で見た接客レベルの高い従業員を見つけ出すことができます。
こうした従業員は、サービス向上のためのモデル・成功事例として組織全社に伝播させることもできます。
覆面調査の結果を評価基準として良い評価を与えたり、表彰制度を用いることも、従業員とチームのモチベーションアップにつながります。
口コミ評価の上昇
覆面調査の活用で、施設の接客レベルが向上し、従業員のモチベーションがあがることで、ユーザーに対するサービスの品質が向上し、その結果顧客満足度がアップします。
顧客満足度の向上によって、固定客が増え、利用頻度が高まることが期待できます。
また、サービスや問題点の改善、新しいサービスの実施により宿泊客の評価が上がり、予約サイトの口コミ評価点が上昇し、集客増につながります。
まとめ
ホテルや旅館の集客のためには、ユーザー目線の現状把握や取り組みが重要です。
顧客目線の情報を集める調査には、アンケートやインタビューといった方法がありますが、知りたい内容を詳細に調査分析する方法としては、覆面調査が有効です。
覆面調査の活用方法には「問題点・課題の改善」「強みを活かしたサービスやキャンペーンの実施」「従業員のモチベーション向上」「口コミ評価の上昇」などがあります。
ホテルや旅館の集客に覆面調査を活用してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。